- なかなか練習時間が取れない
- 毎日楽器を吹けなくて不安
- いつも残業などで練習予定が狂う
そんな多忙なアマチュア演奏家の皆さんには、スキマ時間やついで時間に楽器を使わず練習することが有効です。ウィークデーに楽器を演奏できない方でもどんどん上達が進みます。
私も16年間のアマチュア時代に、練習が進まずに悩みました。社員寮では楽器禁止で、しかもカラオケボックスが楽器練習を歓迎していなかった時代です。
また、場所が取れてもフルタイムで働いた後楽器を吹くのは、体力的にキツかったし、残業やトラブルでキャンセルすることもしばしばで、さらに焦りました。
しかし、それらの経験やオランダでの勉強から、スキマ時間でも練習が進む方法がたくさんあることを見つけました。
たった1つ取り組むだけで変化が起こりますよ。
この記事では、スキマ時間で練習が進み、クラリネットが上達する方法を解説します。
上達する練習の鍵は現実を無視しないこと

楽器演奏が好きなほどに「よし!こんどこそ毎日練習するぞ!」と気合を入れます。
しかし、その計画は現実的ですか?
人間の脳の仕組み上、楽器上達に必要なのは「適切な難易度」と「継続」です。過度に頑張ることは継続を疎外します。燃え尽きてしまっては意味がありません。
また、生活があってこそ音楽活動ができるので時間のバランスも大切です。心身の健康を保つことが豊かな時間を作ります。
では、仕事や生活の現実を無視せず、受け入れ、バランスを保ちながら上達していくには、何が必要なのでしょうか?
大きな鍵は習慣化にあります。
習慣化が最強の練習を生む

人間の脳はすぐには変わりません。それは私たちの命を守るためです。原始の頃からこの仕組みで私たちは守られています。
楽器の上達にも同じことが言えます。自由に演奏できるその「やり方=技術」が自分のデフォルトになるには、一定の時間がかかります。
なので、継続が最大の要素です。ほんの少しづつ行動を続けることが大切です。そのためには、練習を習慣化すればよいのです。
そして、ここで大切なのは続くやり方じゃないと続かないということです。至極当たり前のことです。
しかし、私たちの多くは結果を急ぐあまりに無理をします。
・1日2時間練習しよう
・毎日練習しよう
・明日まで吹けるようになろう
などなど
そして目標を立てたはいいけれど、一度でも計画が狂うとイライラしたり、やる気を失ったり、自己否定感が強くなったり。これでは楽器演奏そのものが嫌いになりかねません。本末転倒です。
では、どうすればいいのか。
ほんの少しの練習を習慣化するのです。
これだけでいいの?と思うぐらいのタスクを習慣化すると、1週間後、1ヶ月後、1年後には大きな複利が生まれます。
スキマ時間やついで時間を活用した練習は、習慣化に最適で前述の通り現実の生活に合った手法なのです。
では、いつこのスキマ&ついで練習をすることができるでしょうか?
スキマ時間とついで時間の見つけ方

スキマ時間やついで時間は次のような場面にあります。
手持ち無沙汰な時間
- 通勤通学の電車内
- 駅やバス停での待ち時間
リラックスタイム
- 仕事合間のコーヒー休憩
- お昼休み
- 夕食後のビールタイム
- お風呂に浸かりながら
- 布団に入って寝落ちするまで
その他
- 病院の待ち時間
- 銀行の待ち時間
一例を挙げました。
生活スタイルや職業により、様々なスキマ時間やついで時間があるでしょう。
わざわざスタジオを借りなくても、練習は進められるのです。
では、具体的にはどのような練習が可能なのでしょうか?
クラリネットが上達するスキマ時間練習アイディア4選

楽器不要で1回たった5分でも上達が進むスキマ時間練習のアイディアを紹介します。リズム歌いで演奏のスラスラ度を上げる
「読めない・吹けない・わからない」の原因の9割はリズムがわかってないからです。
楽器演奏は瞬間のマルチタスクなので、リズムが不明だとすぐにつまずいてしまいます。
しかし極論を言うと、リズムさえ理解できれば、あとはそれに運指を当て込んでいくだけだけなのです。(もちろん音楽的な要素は他にありますが、ここが第一歩です)
そこでおすすめなのがリズム歌いです。
やり方
- リズム練習する場所を決める
- ゆっくり目のテンポでメトロノームをかける
- リズムだけ歌う
- リズムがスラスラになったら合わせて音名(記譜のドレミファ)を歌う
- リズムに合わせてエア楽器
*歌う際は音の高さは不要。純粋にリズムだけでOK。
*自分で指揮をしながらやると何拍目に何がくるのかわかるのでさらに理解が進みます。
リズム不明な小節が多くある場合、日替わりでやるのもいいでしょう。
コツは
✔️1日に全部やろうとしないこと
✔️とにかくゆっくりやること
です
エア楽器で運指の繋がりをスムーズに
エアギターになぞらえて、まるで楽器があるように運指を練習するのが、エア楽器です。私一押しの練習方法です。完全エアーでもいいですし、水筒、ペットボトル、すりこぎなどを使用してもOKです。
エア楽器の素晴らしい点は、本物の楽器を使う時より各運指やその繋がりをより明確に認知できることです。
実際にやってみると、とてもゆっくりしか指を動かせないことがわかります。そしていかにはっきりと動かさないといけないかも実感できるでしょう。
これにより、より精度の高い記憶を脳に残すことができます。下手に何時間も楽器を吹くより、エア楽器を1日5分やった方が、難所の上達に直結します。動きのつながりを明確に記憶できるからです。
エア楽器が有効な練習ターゲット
- 新しい運指
- 複雑な運指の組み合わせ
- 馴染みのない運指の組み合わせ
- ハーモニーが頻繁に変わるアルペッジオ
- あまり練習したことのない調の曲
- 連符のひっかかりポイント
1カ所あたり5分、1日に2、3カ所やるだけで、翌週の合奏がずいぶん楽になるはずです。
特にソロがある時にエア楽器は最適です。
布団に入ってから寝落ちするまで、ソロ部分をゆっくりエア楽器しましょう。
暗譜も進むので合奏や本番でスラスラとソロが吹けるようになるでしょう
ピアノアプリで音程センスを上げる
ピアノアプリで音をよく聴き続けると、楽器演奏時のセンスが上がってきます。
特に音程の取り方に困っている方に有効です。
また、いつも運指を間違えがちな部分は、見えている音符の繋がりと、ソルフェージュ(音と音の繋がり、幅)と、体の動きに勘違いが起こっていることが原因です。
ピアノアプリで音を鳴らし、それを思い出しながらエア楽器をすると精度が上がります。間違いもかなり減るでしょう。
息のデザインでアーティキュレーションを美しく
軽やかなアーティキュレーションは息が要です。舌ではありません。てこずっているアーティキュレーションがあるならば、息のデザインをしましょう。
息のデザインとは、楽譜の上のアーティキュレーションを息だけで実施すること。
やり方
- スラーがかかっている場所は音が変わってもそのまま出し続けます
- スラーの最後も音価分息を伸ばします
- スラーが切れる箇所だけ舌先を軽く上前歯裏に軽くつけ息を遮断します
- 舌で息を遮断している間も息を出し続けます
- 息のデザインがスラスラできたらエア楽器をつける
例えばこの楽譜。

こうなります
楽器がなくてもアーティキュレーションの明快さと軽快さは十分に練習できます。
練習習慣化のコツ

スマホを活用してすんなり練習できる環境を整える
スキマ時間やついで時間練習が習慣化する鍵は、すんなり練習できる環境を整えることです。とにかく、練習へのハードルを下げることが大事。
そこで大活躍するのが、スマートフォンです。
- タイマーで5分だけ練習セット
- アラームでスキマ時間を自分にお知らせ
- 練習ターゲットを写真にとっておく
- メトロノームアプリの活用
- ピアノアプリの活用
- リズム歌いを録音して確認
- PDFでスコアを確認できる
- 練習メモ
などなど
これほど練習をサポートしてくれるものはありません。ぜひ活用しましょう!
完璧をめざさない。がんばらない。
前述の通り、練習は続くやり方じゃないと続きません。私たち日本人はどうしても頑張りたくなります。ですが、本当に頑張るべきポイントを見誤らないことが大切です。
練習の習慣化で頑張るべきは、ハードルをとにかく低くすること、練習しすぎないこと、完璧をめざさないことです。
反対に、難易度を上げすぎること、1日の練習量を増やしすぎること、完璧になるまでやり続けようとすることは、百害あって一利なしです。
あなたが心から音楽を楽しみ、楽器演奏で豊かな時間を味わい、お仕事や家庭生活に好循環をもたらすことが大切です。
まとめ
いかがでしたか?
- 現実的な練習手法が上達に効果的
- スキマ時間やついで時間の活用で練習を習慣化
- 楽器を使わなくても能率的に上達する
- リズム歌い
- エア楽器
- ピアノアプリの活用
- 息のデザイン
- スマホを活用し楽に練習できる環境を整えると効果的
- 完璧を目指さないことがコツ
多忙なアマチュア演奏家の皆さんこそ、スキマ時間やついで時間に楽器を使わず練習することが有効です。
これは、合奏練習で楽器を思いっきり吹ける準備になります。普段、楽器を出せない方にとって週末合奏は貴重な時間です。この時間を心の底から楽しむことが上達と豊かな時間の鍵です。
それが叶うスキマ時間やツイデ時間練習をぜひ実践してください!変わりますよ!